学園坂出版局より
世の中はコロナ禍に振り回され、物事を根底から見直すべき時代に突入したかのように思われます。あらゆる価値、あらゆる体系が実は脆弱な近代のシステムに過ぎなかったのだとすれば、やはりより長いスパンで社会のあり方を再び問い直し、従来とは異なった社会を構想していく必要があります。 例えば縄文時代を対象とする考古学が詳らかにするのは現存する「日本」とは全く異なる国家体制でした。謎が多いとはいえ、近年の研究から日本列島の原像が少しずつ浮かび上がってきています。また、アフリカやインディアンなどの無文字社会を調査対象とした人類学もまた、社会の様子や権力の異なるあり方を提示してきました。 いま、古代ギリシャ語やラテン語から、わたしたちは何が汲み取れるのでしょうか。それは紛れもなく西欧文化の源流であり、神話や古代宗教が複雑に絡み合ったカオスのような糸玉です。この糸を1本1本丹念に解きほぐし、じっくりと編み直していくことが、この古代ギリシャ語クラスの醍醐味ともいえます。 このコラムは2021年春より開始します。どのような展開になるのか楽しみでなりません。ご購読、どうぞよろしくお願い申し上げます。(編集部) 著者プロフィール:
土岐健治
1945年生まれ。一橋大学名誉教授。名古屋市生まれ。名古屋高校卒業。東京神学大学卒業。東京大学大学院西洋古典学専門課程博士課程中退。
近著:
ヨナのしるし―旧約聖書と新約聖書を結ぶもの(一麦出版社 2015)
七十人訳聖書入門 (教文館 2015)
死海写本 「最古の聖書」を読む
(講談社学術文庫 2015)
ほか
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